
前回の序章ではパソコンでテレビレコーダーを作る事になった経緯やメリット、デメリットについて書きましたが、このページでは機材について書いていきます。まず筆者が目標としたのは機能面では最低限ダブル録画が出来る事。2番組以上、同時に録画したいという場面がほぼ無いのでチューナーは機能よりも価格重視で探しました。また、総額で35,000円を超えない事を意識しました。これはダブル録画出来るBDレコーダーの現在価格が安い物で大体35,000円程度というのが理由で、強いこだわりがない限りはBDレコーダーの価格を超えてしまうとコスパに見合わないと考えたから。当初はIntel N100が標準で搭載されているN100DC-ITXをベースに組む予定だったのですが、発売から1年近く経っても価格が下落しなかった事、N100搭載のミニPCと比べても割高な事から諦めて中古PCをベースに組む事になりました。
テレビレコーダー用のパソコン選び
元々ファイルサーバとして常時稼働させておく事を想定していた為、何もしていない状態での消費電力が低いパソコンを中古品から選別する事に。結果、過去記事で既に書いたようにHP EliteDesk 800 G4をヤフオクで送料含め約13,000円で落札購入。CPUがCore i5-8500で6年前の物が搭載されていましたが、テレビレコーダーとして使用するには十分すぎるほどの性能。メモリは8GBが1枚、ストレージはM.2のSSD 256GBが装着されていました。スリム型のDVDドライブも搭載されていましたが、消費電力を1Wでも減らしたいのでケーブルを抜いて無効化。
消費電力はメモリ1枚、ストレージをSSDのみにした最小構成だとアイドル状態で6Wとかなり低く、24時間稼働させておく事を前提としたパソコンとしてはかなり優秀。但しこれに3.5インチHDDとテレビチューナーを追加したので現在のアイドル状態は8~12Wとなっています。
OSは認証済みのWindows 10 Proが事前にインストールされていましたが、他人がインストールしたOSを使うのはセキュリティ上で不安なので、自身で10 Proをクリーンインストールし直しました。その際、Windowsのライセンス認証は自動で通り、何ら問題は出なかったです。11 Proをインストールして使用する事も出来る筈ですが、チューナーの動作の安定性を考慮してあえて10のままにしています。
他に候補として同じ第8世代のIntel CPUを搭載した富士通のESPRIMO D588があったのですが、HP EliteDeskの方がIntel vProプラットフォーム対応な上に価格相場も変わらなかった為、EliteDeskになりました。
パソコン用テレビチューナー選び
元々、安定性で定評のあるアースソフトのPT3をオークションで落札する予定だったのですが、自身の希望価格で落札する事が出来なかった為、冒頭の方の写真にある通りPLEX(プレクス) PX-W3PE5を購入。これを選んだ理由として同時に2番組録画が可能(地デジとBS/CSの組み合わせで最大4番組の同時録画が可能)、装着はPCIe接続のみで完結する事、有志作成の非公式ドライバを使用すれば安定性はPT3に劣らないという情報があった事が要因となります。
PLEX社のパソコン用テレビチューナーには他に似たような仕様のPX-W3PE4もありますが、内部のUSB接続が必要な為に候補から外しました。他、PX-Q3PE4やPX-MLT8PEも同じ理由で却下。内部のUSB接続が必要無い物だと最大8番組同時録画出来るPX-Q3PE5がありますが、筆者には全く必要性が無い上に価格も高いので最初から候補には含めませんでした。
内蔵型以外ではPX-W3U4といった外付けUSB型の物もありますが、外付け型は無駄に場所をとるのと安定性に不安があるので特段の事情が無い限りは選ぶ意味は無いと思われます。場所を取らない小型のPX-M1URもありますが、1番組しか録画出来ない割に価格は高いので同じくこれを選ぶ意味は殆ど無いでしょう。
ストレージ
録画番組を保存する為のハードディスク(以下HDD)やSSDですが、1時間の番組を保存するのに大きい物で8GBほど消費するので、見て消しの用途であっても撮り溜めしておく場合はそれなりの容量のストレージが必要になります。予算に余裕があるなら消費電力も低く速度も速い大容量のSSDを使用したい所ですが、筆者の場合は当初手持ちの余っている2TBのHDDを使用。録画後に自動で変換してファイルサイズを縮小するといった事も出来るので、小まめに視聴して視聴後は直ぐに消すといった場合は、録画数にもよりますが500GBぐらいでも足りると思います。
ケーブル類
当然ながらパソコン用テレビチューナーに接続する為のアンテナケーブルが必要となります。筆者の場合は元々nasneを使用していた為、nasne用に使っていたケーブルを流用しましたが、1から環境を構築する場合は分配器やアンテナケーブルが必要となってきます。アンテナケーブルを分配したりといった作業は一見ハードルが高そうに思えますが実際にやってみると思いの外に簡単で、機材も決して高くはありません。ただ分配器と分波器は異なる用途の物なので、混同しないように注意しておく必要があります。因みに分配器は同じ信号の物を複数に分ける物で、地デジやBS/CSのアンテナケーブルを接続する機器分だけ増やす目的で使用します。分波器は地デジとBS/CSの信号が混合されているアンテナケーブルの信号を分ける際に使用する物で、混合ケーブルを地デジ用ケーブルとBS/CS用ケーブルに分離する事が出来ます。
B-CASカード
筆者が購入したPX-W3PE5含め、TS抜きに対応したパソコン用テレビチューナーの殆どにはB-CASカードが付属していません。そして例外を除けばTS抜きチューナーであっても視聴や録画にはB-CASカードと、B-CASカードをPCに接続する為のカードリーダーが必要です。筆者の場合は過去に廃棄したテレビのカードが手持ちにありましたが、余剰分が無い場合は何らかの方法で入手する必要があります。最も手軽な方法としてはオークションやフリマサイトで購入する方法ですが、カード単体での販売は違法になる可能性があるらしく、カードと適当なチューナーとのセットで購入する事になると思われます。
因みに例外としてSoftCasを導入する事でB-CASカード無しで視聴や録画を行う事が出来るようになります。つまりはSoftCasが仮想的にB-CASカードが挿入されているように動作します。それにより一々カードリーダーをパソコンに接続する必要も無くなりスッキリする以外に接触不良の心配も無くなるので便利なのは間違いありませんが、十中八九違法な物なのでこれ以上は触れません。
ICカードリーダー
B-CASカードをPCに接続して使用する為にはICカードリーダーが必要な場合があります。筆者所有のPLEX PX-W3PE5はカードリーダー内蔵ではありますが非公式ドライバをインストールしている都合上、内蔵カードリーダーが使えない為に10年以上前に購入していたSCR3310/v2.0を使用しています。

ICカードリーダーが必要ならSCR3310/v2.0を買っておけば間違いないって物ですが、私的には1,000円前後の安い物でも十分に機能は果たすんじゃないかと思います。
コメント