
過去にクリップNOTEやClibor、CopyQを掲載してきましたが、このジャンルがあまり人気が無い事を知りつつも筆者の利用頻度が高い事から開発したのが今回掲載するAIG-ClipboardExtです。コピーしたテキストを履歴として保存しておき、後から再利用出来るソフトですが、Windows 10以降からはWin+VキーでOS標準のクリップボード履歴機能を使用する事が出来ます。OS標準機能と異なる点としては事前に定型文を登録しておく事で、その定型文を即座にコピーして利用出来ます。例えばメールの返信文を登録しておけば、一から入力しなくてもコピーから貼り付けで楽に返信文を作成出来ます。
因みに筆者はクリップNOTEの画面端クリックからウィンドウを表示出来る機能が好きで長年愛用していた事もあって、AIG-ClipboardExtにも殆ど同じ機能を実装しています。選択中のテキストの変換やCliborのようなFIFO/LIFOといった機能は無く、かなりシンプル機能に絞られていますが、画面端クリック表示以外にホットキー表示やフォント設定、自動貼り付けといった定番機能は実装しています。他に筆者が必要性を強く感じていた事もあって、履歴のロック機能でアイテムを削除対象から外しリストの最上部に表示し続ける機能を実装しています。
また、このソフトウェアもAIG-Calendarと同様、AIに全プログラムコードを書かせてWindows用ソフトウェアを作るに掲載しているようにプログラムのコードは全てAIで生成した物です。ソフトウェアの機能は地味ながらも複雑な条件分岐が多い事もありAIG-Calendarと比べて完成までかなり苦労しました。幾つか諦めた機能もありますが、用途さえ合えば実用性は十分だと自負しています。
動作環境
Windows 11/10で動作を確認しています。テストはしていませんが7以上で動く想定です。一般的な環境ではランタイムを別途インストールする必要はありませんが、環境次第ではVisual C++ 再頒布可能パッケージの64ビット版のインストールが必要になります。また、AIG-ClipboardExtはレジストリを一切使用していないので不要になればフォルダごと削除して下さい。
AIG-ClipboardExtは無償で使用出来るフリーソフトウェアですが、使用に当たりユーザーが何らかの不利益を被っても一切責任を負いません。
ダウンロードと準備
AIG-ClipboardExtは現在Vectorのみで配布しています。ダウンロードリンクからダウンロードして下さい。ダウンロードしたZIPファイル展開後、即使用可能です。

圧縮ファイル展開後、中身にはプログラムの本体である「AIG-ClipboardExt.exe」の他、バックアップファイルの保存先である「backup」フォルダ(初期状態は空)、ツールバー用アイコンが入っている「img」フォルダ、履歴の保存ファイルの「history.ini」、ユーザー設定が記録されている「settings.ini」、定型文の保存ファイルである「templates.txt」(2と3含む)、簡易説明.txtが入っています。

AIG-ClipboardExt 使い方
「AIG-ClipboardExt.exe」を実行するとシステムトレイに最小化された状態で起動します。メインウィンドウはトレイアイコンのクリックか初期状態で設定してあるホットキーの「Ctrl+0」で表示されます。また、初期設定のままであればウィンドウ外のクリックにより自動で非表示となります。

ツールバー上のボタンの機能は以下のようになっています。その下にあるタブは履歴の他、定型文を3ページ分、登録して切り替えられるようになっています。

- 最前面表示
- オンの状態だとメインウィンドウを表示させた際に他のウィンドウよりも前面に表示させます。
- 常時表示
- オフの状態ではウィンドウ外のクリックで自動でウィンドウを非表示にしますが、オンの状態の場合は自動で非表示にさせないようにします。但し×ボタンで非表示になります。
- 履歴記録
- オンの状態ではコピーしたテキストの履歴がリストに自動で登録されていきますが、オフにする事で履歴の登録を停止します。
- コピー後に先頭に移動
- オンの状態では履歴リストからコピーした際、そのアイテムはリスト先頭に移動しますが、オフにすると移動しません。
- 自動貼り付け
- オンの状態ではコピー後、背面にあるテキストエディタなどに自動で貼り付けを行います。一旦対象のエディタをクリックしてアクティブにしておく必要あり。
- 履歴の全削除
- 履歴のアイテムを全て削除します。但しロックされたアイテムは削除の対象外となります。
- ファイルのバックアップ
- 履歴や定型文、設定ファイルをbackupフォルダ内にコピーします。
- 設定画面の表示
- 文字通り設定画面を表示します。
設定画面
設定画面では履歴アイテムの保存件数、リスト上の表示件数、重複ブロックの有無、クリック表示の位置、ホットキー、リストとタブのフォント、自動起動登録(スタートアップ登録)の設定があります。重複ブロックは同じテキストを重複して保存しない機能で、定型文に登録してある内容もブロックの対象となります。クリック表示は画面の左端下、左端上、上端左、上端右、右端上、右端下の6ヵ所から選択可能。ホットキーは標準で「Ctrl+0」となっていますが、「Shift」や「Alt」キーとの組み合わせによる指定も可能です。

基本操作
履歴リストからコピーした場合は「再」の列にチェックマークが表示されます。また、右クリックメニューにある「ロック」でリストの先頭に常時表示する事が出来ます。その際、鍵のマークが表示され、「ロック解除」でロックから除外します。履歴アイテムはホイールクリック(中クリック)やツールバーの全削除ボタンで削除出来ますが、ロックされたアイテムは削除対象外となります。

タブを定型文に切り替えて右クリックメニューの「新規登録」から定型文の登録が行えます。1行目に[LABEL]を使う事でその行をリスト上に表示しますが、コピーの対象外にする事が出来ます。つまりクリックしてコピーした際には2行目からがコピーの対象になります。勿論、[LABEL]を使わず通常通りの登録も行えますが、その場合は全ての行がコピーの対象となります。

また、右クリックメニューの「外部エディタで編集」では.txtに対して関連付けされているエディタを使って定型文ファイルを丸ごと編集が可能です。1アイテムはハイフン3つで区切られる仕組みになっているので、それを考慮して下の例のように編集して下さい。
[LABEL] この行がリスト上に表示されるがコピーはされない
ラベルがある場合は2行目からがコピーの対象になる
ハイフン3つで1アイテムとして区切られる
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ハイフン3つで区切られるので、ここが2つ目のアイテムになる
ラベルを使っていないアイテムは全行がコピー対象になる。
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キーボード操作
- メインウィンドウ表示のホットキー
- 標準で「Ctrl+0」になっていますが設定からユーザー指定のキーに変更可能。
- メインウィンドウを閉じる
- 常時表示のオン/オフ関係無く「Esc」キーでウィンドウを閉じます。
- コピー
- 「Enter」キーでクリックと同様にコピーを行います。
- 履歴アイテムのロックとアンロック
- 「Ctrl+L」キーで履歴アイテムのロックとアンロックを行います。履歴タブのリストのみ。
- アイテムを削除
- 「Del」キーでアイテムを削除します。定型文は一旦確認画面が表示されます。
- アイテムの編集
- 「Ctrl+E」キーでアイテムの編集画面を表示します。履歴と定型文タブ共通。
- アイテムの新規登録
- 「Ctrl+N」キーで新規アイテムの登録画面を表示します。定型文タブのリストのみ。
- タブの移動とリストの移動
- 方向キー左右でタブを移動、上下でリストを移動します。
- 定型文の並びの移動
- 「Ctrl+方向キー上下」で選択中のアイテムを移動します。定型文タブのリストのみ。
- 最前面表示のオン/オフ
- 「F1」キーで最前面表示のオン/オフを切り替えます。
- 常時表示のオン/オフ
- 「F2」キーで常時表示のオン/オフを切り替えます。
- 履歴記録のオン/オフ
- 「F3」キーで履歴記録のオン/オフを切り替えます。
- コピーで先頭移動のオン/オフ
- 「F4」キーでコピーで先頭移動のオン/オフを切り替えます。
- 自動貼り付けのオン/オフ
- 「F5」キーで自動貼り付けのオン/オフを切り替えます。
- 全履歴を削除
- 「F6」キーで全履歴の削除を実行します。定型文タブのリスト表示時には無効化されます。
- バックアップ
- 「F11」キーで設定、履歴、定型文ファイルのバックアップを実行します。
- 設定画面の表示
- 「F12」キーで設定画面を表示します。
AIG-ClipboardExt 備考
「settings.ini」を開いて[Tabs]セクションにある「Tab0=履歴」や「Tab1=定型文 1」他を書き換える事でタブ上やリストのヘッダに表示される名前を自由に変える事が出来ます。例えば定型文 123をメモや買い物リストといった名前に変える事が可能。
履歴リスト上のアイテムをクリックやEnterキーでコピーするとチェックマークが付与され先頭移動オンの場合は先頭に移動しますが、右クリックメニューの「コピー」からコピーするとチェックマークは付与されず先頭移動オンでも先頭に移動しないという微妙な違いがあります。
定型文に登録してあるアイテムは本当はマウスのドラッグで移動出来るようにしたかったのですが、大幅に作り変えが必要でかなり難しかったので実装出来ませんでした。ただ上にも記載してある通り「Ctrl+方向キー上下」で移動出来るので実用上は問題無いと思われます。
定型文リストを外部エディタで編集した場合は直ぐに変更がリスト上に反映されませんが、右クリックメニューにある「定型文リストの更新」から変更を反映させる事が出来ます。
他、ツールバー上のアイコンは実行ファイルのある「img」フォルダ内のアイコン画像を読み込んでいる仕様上、同じ名前で画像を差し替える事で別のアイコンに変更する事が出来ます。AIG-ClipboardExtで使用しているアイコン素材はiconmonstrさんで配布されている物です。

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