Windows 11のシステム要件が厳しい事から古いPCでこの先、Windowsを使い続けるのが難しくなってきましたが、要件を回避して無理やりWindows 11をインストールする方法もあります。しかしただでさえトラブルの多い11で、要件を満たさないPCにインストールするのはリスクが大きいので、これを機にLinuxに乗り換えようという方も少なくないようです。
現在筆者も11の要件を満たさないIntel第三世代のCore iシリーズ搭載ノートPCを所有しているのですが、利用頻度が低い上に主に家族がWebブラウジングでしか使用しないPCなので、Windowsにこだわる必要も無いと思いLinuxをインストールしてみました。Linuxにはディストリビューションと呼ばれる様々な種類があり、どれを選んで良いか迷う所ですが少し前までは初心者向けにUbuntu派生のLinux MintがWindowsの操作感に近い事からお勧めされていました。しかし最近では同じくUbuntu系のZorinが人気との事なのでZorinを選択。そこで今回はZorinのインストールから軽く触ってみた感想をこのページで記事にします。
WindowsとLinuxの違い
先にWindowsとLinuxとの違いについて簡単に纏めておきます。Linux MintやZorinといったWindowsの操作感を意識して作られているディストリビューションの場合、軽く触る程度ならそれほど大きな差は感じないのですが、例外を除きWindows用ソフトウェアは使用出来ません。最近では有名処のソフトウェアはLinuxに対応している物も少なくありませんが、Windowsで愛用しているソフトでLinux用が無い場合、代替品を探すかLinux上でWindows用ソフトを動かす事が出来るWineを使用する方法もあります。但しWineを通して形式上動作してもWindowsと同じように動作するとは限りません。
使用している周辺機器のドライバが無くて動作しないという問題も考慮しておく必要があります。昔と比べるとマウスやキーボードは別途ドライバをインストールしなくても問題無く動作する事が殆どですが、プリンターはそもそもLinux用が用意されておらず使えない場合もあります。他にもBluetoothアダプタが認識されないとか、USB接続の外部機器が動作しない可能性も考慮しておく必要があります。
他、フォルダの構成がWindowsと全く異なる点は私的に最も困惑します。長年使い続けてきたWindowsの場合はどこに何があるかが感覚的に分かるのに対し、Linuxでは構成が大きく異なるので特定のファイルを探し出す際にどこをどう辿って行けば良いかが手探りになります。ただ、この問題は使い続けていけば自然と慣れるようになると思われます。
Zorinのダウンロード
Zorinの公式サイトにアクセスします。「Download Zorin OS」をクリックするとダウンロードページへ移動します。
Zorinのダウンロードページが表示されたら一番上に有料のProのリンクがあるので、それを無視して下にスクロール。無料で使用出来る「Core」の「Download」からダウンロードを実行。「Education」は教育機関向けで学習用のソフトウェアなどが含まれている物となります。因みに筆者が公式からのダウンロードを行った際は頻繁に途切れて最後までダウンロード出来ませんでした。
公式からのダウンロードが難しい場合はミラーサーバからダウンロード出来ます。ミラーページを開いて下にスクロールすると「Asia」があるので、この中からダウンロードするサーバを選んでダウンロードしてみて下さい。因みに筆者はSingaporeの「Freedif」からダウンロードしました。
Zorinの準備とインストール
ダウンロードしたZorinのインストーラのISOイメージファイルから、RufusやVentoyを使ってブータブルUSBメモリを作成しておきます。昔ながらのDVDに焼いてDVDからブートさせる方法でも構いませんが、ブート後に下のような画面が表示されるので「Try or Install Zorin 0S」で進みます。
ここからは一時、放置しておくだけ。Zorinの起動までに少し時間が掛かります。
Zorinの壁紙が表示され、一時経つと「インストール」画面が表示されます。まずは左サイドの言語メニューから「日本語」を選択して日本語化。「Zorin OSをインストール」から進みます。インストール前にどんな感じか試してみたい場合は、「Zorin OSを試す」でインストールを行わずに試用する事が出来ます。
最初にキーボードレイアウトの選択、インストール中のアップデートの有無、インストールの種類と進みディスクの削除やパーティション操作からインストール先の選択を行います。因みに複数のドライブを接続している場合は、この後にインストール先のドライブの選択画面が表示されるので、インストール先を間違わないように注意して下さい。
更に居住地の選択（タイムゾーンの設定）、ユーザー名やコンピュータ名、パスワードの設定と続いていき、インストールが実行されます。完了すると「インストールが完了しました」と表示され、一旦再起動が必要になります。再起動後、ツアー（機能紹介？）の画面が表示されますが、筆者は「遠慮する」でツアーは見ずにスキップしました。
Zorin 初期設定
ここからは筆者がZorinインストール後に行った初期設定を幾つか記載していきます。昔まではLinuxで日本語入力を行うだけでも面倒な作業が必要でしたが、ZorinではMozcがプリインストールされているので、Windowsで言う所のIMEの部分をクリックして入力をMozcに切り替えます。これでWindowsと同じように半角/全角キーで日本語入力が出来るようになります。
タスクバーで右クリックしてメニューの「タスクバー設定」からタスクバーの挙動を変更します。「スタイル」タブにある「Margin」と「ボーダーの角の丸み」を0にする事でWindowsのタスクバーのように端一杯にタスクバーが表示されるようになります。
他に「位置」タブではタスクバー上の各ボタンの表示/非表示の切り替え、「動作」タブでも同様に表示/非表示の切り替えがある他、ホバー時のウィンドウのプレビューの有無の設定、「アクション」タブではタスクボタンのクリック時やホイール回転時の動作を設定出来ます。
同じくタスクバーで右クリックして、今度は「Zorin Appearance」を選択。「効果」の欄でウィンドウ表示などのアニメーションを無効化出来る他、「デスクトップ」の欄ではゴミ箱や特殊フォルダを表示させる事が出来ます。「ウィンドウ」欄では高度なウィンドウのタイル表示の無効化やタイトルバークリック時、ダブルクリック時、右クリック時、中クリック時の挙動の設定が可能。
それ以外ではスタートパネルにある「設定」で設定画面を開き「ディスプレイ」欄にあるスケールで表示倍率を変更したり「電源」欄で画面のブランク（一定時間操作が無い場合にディスプレイオフ）を無効化したり、「外観」欄で壁紙を変更したり、「アプリ」欄で既定のアプリ（関連付け）の変更を行う事が出来ます。
ソフトウェアのインストールとアンインストール
スタートパネルにある「ソフトウェア」からソフトウェアを起動してZorinで使用出来るソフトを探してインストール出来ます。「探す」タブで画面左上にある検索ボタンをクリックして入力欄を一旦表示するか直接文字入力すればソフトウェアの検索を実行します。
また、「インストール済み」のタブに切り替えてインストールしているソフトをアンインストール出来る他、「アップデート」のタブで必要なアップデートを表示して実行出来ます。
Windows用ソフトウェアを動かす
Linuxでは昔からWindows用ソフトウェアを動かす為のWineというソフトウェアがあり、Zorinでも使用する事が可能です。普通にWindows用ソフトウェアの実行ファイルをダブルクリックして起動させようとすると「Windows App Supportをインストールしますか？」と表示されるので、「インストールします」を選択してインストールします。
他、ボトル（Bottles）を事前にインストールしておき作成したボトル内で起動させる事も出来ます。Windows App Supportもボトルも背後ではWineが動いており動作的には同じ筈。ただ思いの外に問題無く動くソフトウェアもあれば、形式上起動はするけど全く思い通りに動作しないという事も少なくありません。またフォントの問題で、部分的、もしくは全体が文字化けする事があります。
正常に動いたらラッキー程度であまり期待しない方が良いでしょう。Windows用ソフトウェアをLinuxで動かすより代替品となるLinux用のソフトウェアを探した方が早いかもしれません。
Zorin 備考
Windowsの共有フォルダにアクセスする際はファイルマネージャの「他の場所」から下部にある「サーバーアドレスを入力」の欄に「smb://ローカルIPかデバイス名」といった具合に入力して接続すると簡単にアクセス出来ました。逆に共有フォルダを作る方はエラーで出来ず。色々調べた所では同じように18で共有フォルダの作成でエラーが出るという情報があったので、何らかのバグなのかも。ただ本当にバグなのか自分の設定に問題があるのかは情報量が少なすぎて判断出来ない部分もあり、トラブルがあった際にWindowsと比べて圧倒的に情報が少ないのがLinuxの大きな欠点でしょうか。
冒頭の方でも書いた通りWebブラウジングするだけという目的で使用するなら難しい事は一切なかったです。Zorinをインストールする前はUSB接続の無線LANがちゃんと動くのかとか、タッチパッドの動作に不安もあったのですが、全て正常に動作しています。設定部分はむしろWindowsよりも分かりやすいぐらいで、良く出来たOSだと感心しました。
ただ少し凝った事をやろうとするとZorinであってもターミナル（端末）操作を避けては通れない時もあり一気にハードルが上がった気分になります。何でこの程度の事をやるのにこんな面倒な操作が必要なんだと感じる事もありました。そう考えると色々と不満はあるもののWindowsって良く出来ているんだと感じます。
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