
最近、巷ではミニPCと呼ばれる小型のパソコンが流行しているようですが、この流行はIntel N100 CPUの登場がきっかけとなっているようです。N100はTDPがたったの6Wで低発熱な上に超低消費電力なCPUでありながら、性能は第6世代のCore i5相当なので、重たいゲームや凝った動画編集を行わないなら大概の用途を満たせる性能だと言えます。価格もメモリやストレージの容量によって異なりますが、2万円を切る物もあり安いのも魅力の一つでしょう。
筆者は一時期NASが欲しくなって色々と調べていた際、もっと簡易的なファイルサーバーを構築しようと思い立ちIntel N100搭載のASRock N100DC-ITXで自作の小型PCを組み立てようかと検討していた時期があったのですが、市販のN100搭載ミニPCのアイドル状態の消費電力が6W前後なのに対してASRock N100DC-ITXの消費電力が10W前後という情報を見て、筆者の想定より高かった為に購入を断念しました。
色々とネットで情報を漁っていく中、ファイルサーバー用パソコンとして自分が必要としている条件に最も近かったのがHP EliteDesk 800 G4。実際に購入後はファイルサーバー機ではなくテレビチューナーカードを装着してテレビ番組録画機として運用していますが、下にざっとHP EliteDesk 800 G4のレビューを書いていきます。
HP EliteDesk 800 G4

HP EliteDesk 800 G4は今から約6年前に発売された機種で、筆者が購入したのはヤフオクで出品されていた中古品となります。購入価格は送料も含めると約13,000円。恐らくは企業向けのリース落ち品のようで、現在も同機種が定期的に大量出品されています。また、この機種には末尾にDMが付く最近のミニPCサイズに近い小型モデルもあります。搭載されていたCPUはIntel Core i5-8500で、単純なベンチマークスコアの比較だとマルチスレッド性能はN100の1.8倍ほど。OSはWindows 10 Proが事前にインストールされておりメモリは8GBが1枚、ストレージは1万時間以上使用されているM.2 SSD 256GBが装着されていました。

業者の出品なのもあって内部は綺麗に整備されており、埃も全くない状態でストレージを除けば中古品でもそれなりに長く使えそう。内部の拡張性もそこそこあり、3.5インチHDDが2台、2.5インチHDD/SSDが1台装着出来るスペースとM.2 SSD用のスロットが2つ、PCIeスロットが4つあります。但し装着出来る3.5インチと2.5インチのストレージは専用のネジが必要な他、拡張カードはケースの仕様上ロープロファイル限定となっています。
電源は80PLUS認証がプラチナで容量は250W。消費電量は公式の仕様表で通常時10Wとなっていましたが、これは3.5インチHDD装着時の計測なので自身で内蔵DVDドライブのケーブルを外してメモリ1枚、SSDのみの最小構成でWindows 10 Proのアイドル状態の消費電力を計測したら6Wでした。元々24時間稼働しっぱなしのファイルサーバーを構築する目的で購入したので、アイドル状態の消費電力が低い事が絶対条件だったのですが、ほぼ目論見通りの結果で一安心。
また、オフィス向けに販売されているパソコンなのもあってHP EliteDesk 800 G4はIntel vProプラットフォームに対応している所も魅力なのですが、この件に関してはいずれ別ページで。
逆に目論見が外れた点としてはPL1(Long Duration Power Limit)とPL2(Short Duration Power Limit)の設定項目がUEFIにありませんでした。意味があるかは別としてPL1とPL2を弄って作業時の消費電力を低く出来ないかと考えていましたが、設定項目そのものが無い為に叶わず。また、映像出力がDPとD-Sub 15ピンしかないのでDPをHDMIに変換する機器と更にHDMIセレクタを使ってテレビに接続していたのですが、画面が消えてファンが全回転で暴走しだす問題があります。筆者には何が原因なのか技術的な事はサッパリ分かりませんが、用途的にUEFIの操作やシステムイメージバックアップ以外で映像出力を必要としないので、普段映像出力ケーブルは外して使用しています。因みにHDMIセレクタを使わなければ暴走しないので、セレクタとの相性問題と思われます。
欠点としてはマザーボードや電源はメーカー独自仕様の物なので汎用性が全くありません。仮に電源が壊れた場合、電源とマザーボードのコネクタが独自仕様になっているので一般的な市販の電源とは交換できず、メーカー専用の電源を用意する必要があります。現時点では普通に購入出来ますが、3年後とかに電源が壊れた際に入手出来るのかは不安点ではあります。
他に筆者は静音性にはそれなりにこだわりがあるのですが、普段はかなり至近距離じゃない限りファンの音は聞こえず静音性は高いです。負荷を掛ければ当然それなりのファンの音は出ますが、どちらにせよ個室の隣の物置部屋のラックに置いてあるので、動画のエンコード中といった重い作業をしている時でも全く騒音は聞こえません。
総合的に見てかなり良い買い物をしたと自己満足しています。流石に6年前のPCに2万、3万出す気にはならないけど1万ちょっとですからね。現在中古購入したHP EliteDesk 800 G4は手持ちの余っていた3.5インチHDDとテレビチューナーカードを増設して上述通りテレビレコーダーとして稼働していまが、ここら辺の話はまたいずれ書く予定です。
Intel N100搭載ミニPCって必要か?

筆者は一時期、Intel N100搭載のミニPCが凄く欲しかった時期があり、上の方でも書いたようにN100搭載マザーボードのASRock N100DC-ITXの購入も検討していたのですが、ふと第8世代以降の中古PCの価格相場を調べ始めてからは、次第にN100搭載PCに対して興味が薄れていきました。上でも書いた通り結果的には中古のHP EliteDesk 800 G4の購入に至った訳ですが、拡張性を犠牲にしてでも小型である事にこだわりがあるならば800 G4 DMや400 G4 DMといった選択肢もあります。
EliteDesk 800 G4 DM、もしくはProDesk 400 G4 DMのヤフオクでの中古相場は状態や搭載されているCPU、メモリ、ストレージによってバラツキがあるものの安くて1万円前後で、CPUは低発熱モデルのCore i3-8100Tやi5-8500T、i7-8700Tが搭載されています。仕様書によるとどのCPUでも標準時の消費電力は4Wとなっており、出品数の多いi5-8500Tだとマルチスレッド性能はN100の大体1.5倍。こうなってくるとN100搭載のミニPCを買うよりi5-8500T搭載の中古EliteDesk 800 G4 DMの方が私的には魅力に感じます。
勿論中古故に内部パーツの劣化、特にストレージのような消耗品は新品と比べれば寿命が短い可能性が高く、保証も良くて商品到着後1週間程度しか無い物が殆どなので初めての1台としては全くお勧め出来ませんが、ある程度知識と経験値のある人のサブ機としてはN100搭載ミニPCより殆どの点で優れているんじゃないでしょうか。
N100搭載ミニPCの方を選ぶ利点としては新品購入出来る点以外だと、第12世代のCPUなのもあってQSV(Intel Quick Sync Video)の性能は第8世代や第9世代のCPUよりも優れているそうです。H.264では大差ないようですがH.265では新しい世代の方が変換速度だけでなく画質も向上しているそうなので、ここら辺に魅力を感じるのならN100搭載ミニPCの選択も悪くないのかもしれません。
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